東北からのメッセージ

「復興食堂 ゆめ広場」の名には、岩手県のみならず、これまで東北で出会った沢山の方々の復興への”夢”を、終わらせるのではなく繋いでいくとの想いが込められています。震災後、親交を深めてきた東北の皆様さまからいただいたメッセージをご紹介します。

岩間敬子さん おらが大槌復興食堂/おらが大槌夢広場 理事

岩間敬子さん

▽町の中心部が津波に襲われ、当時の町長をはじめ役場職員40人を含む1200人以上の方が犠牲になった岩手県大槌町。
 何も無くなった町中心部で立ち上がった「一般社団法人 おらが大槌夢広場」が運営していた「おらが大槌復興食堂」は、ボランティアの重要な情報交換拠点となり、来店客は約4万人に上りました。
 弊団体でも2013年3月から訪れ、温かな食事と共に復興に携わる多く有志の方々との縁を深めさせていただきました。
▽2013年12月、嵩上げや区画整理のために閉店を余儀なくされましたが、その食堂でホール店長を務めていた岩間敬子さんは現在、大槌町観光交流協会の物産・交流コーディネーターとして、全国に大槌町をPRするため奔走されています。
▽岩間さんを訪ねると、2018年6月オープンした文化交流センター「おしゃっち」で、岩間さんが企画運営する「第1回大槌フェア」の真っ最中で、大勢の人で賑わっていました。忙しいい最中、岩間さんが現在の取組みや町の復興の現状を語ってくれました。
(「おしゃっち」という愛称は、大槌の中心エリアを指す地名「御社地」にちなんで名付けられたもの。震災復興を目指す大槌における“情報発信”の拠点としても大きな注目を集めています)
▽県外の様々なイベントへ参加する中で、全国で東日本大震災の被災地への関心が薄れていることに危機感を感じた岩間さん。
 町民だけでなく、震災以降に大槌に応援職員やボランティアとして助けに来てくれた人達など、これまでの7年間共に闘ってきた人たちが再集結をする場を作り、町の実力や底力、発信力を高めることを目的として「大槌フェア」が立ち上がりました。
 また、震災以降、大槌町では多くの個人経営の商店が廃業を余儀なくされました。岩間さんは現在も奮闘する商店の方々を一軒一軒周り、一対一の対話をする中で、「商店のやってみたいを、行動に移せる」チャンスや場所を提供し、街づくりの最先端である商店同士の交流も目指しています。
▽大槌の現状 人口減
「奥さんを半年程前に亡くされた一人暮らしの男性がフェアにきてくれて、『いや〜楽しかった。次もまた来っから』と声をかけてくれて。そういうきっかけになってくれた人が、一人でもいてくれれば成功したと思っています」と語る岩間さん。
 大槌町は「少子高齢化」と、震災による仕事先や移住先を求めての「転出超過」の両方が同時に進行し、岩手県内でも特に人口減少率が高まっています。「人がいなければ建物があっても街にならない」との信念の元、目の前の一人を大切に、岩間さんの地道な闘いは続きます。